チンチラの歯は一生伸び続けるので、歯を摩耗するための繊維質のエサが必要です。
しかし、飼い主が一生懸命食べさせようとしても個体にも好みがあり、その結果、不正咬合を発症してしまうことがあります。
若い頃は歯が健康でも、高齢になって歯の摩耗が追い付かなくなって発症するケースも多く見られます。
そういった点から、チンチラの不正咬合はチンチラの病気の中で大きな割合を占めているのではないかと思います。
不正咬合を発症したときに一番大切なことは、ちゃんと処置ができる病院に連れていくことです。
ねずみの口の中は狭く、診ようとすると暴れるのでとても大変です。
獣医さんなら誰でもできるものではなく、チンチラの不正咬合の処置を何度も経験してきて、独学で勉強もしているような先生でなければ難しい。
不正咬合は一度発症するとほぼ完治しない病気ですが、発症して間もない軽度の段階で処置すれば、予後は良好なことが多い病気です。
それなのに、診断や処置が正しくないために命の危険にまで及ぶことがあります。
病院に連れて行って診断結果を聞いたとき、飼い主の勘で本当にそれでいいのか判断することが重要です。
そのためには事前に自分でもいろいろ調べて、少しでも納得がいかないときには即別の病院に変わることです。
チンチラハウスの医療体験談の不正咬合の記事に、考えさせられるケースがありましたのでご紹介したいと思います。
不正咬合とはどんな病気なのか詳しく知りたい方はこちら↓
不正咬合の見極め方・発症したときの介護のしかたはこちら↓
ケース① 抗生剤はもっと慎重に投与してほしい
最初にいった病院で口の中をみてもらったところ、血が流れた後はあるが、目立った異常はないと診断されました。
抗生剤と栄養剤を注射。
その後5回通いました。
元気がなくなってきたので、別の病院へ連れて行きました。
一番奥の歯が変なふうにのび、そこに舌が巻き込まれているとのことでした。
また、チンチラにとって抗生剤は劇薬で、けっして使用してはいけないと言われました。
1週間後くらいから、食べられるようになりましたが、抗生剤のせいか、体調がなかなかよくなりませんでした。
出典:https://www.sbspet.com/chin/chin16-1.html
「抗生剤は決して使用してはいけない」というわけではなく、使用しなければならないときもあるでしょう。
しかし、血が流れた後があるくらいでの使用はどうかなぁ。
血が止まらなくて、それが命に関わるときには必要になるでしょうから、
「出血して止まらないときには使用してください」
と言って、飲むタイプの抗生剤を処方してくれれば良かったのではないかと思います。
以前、うちのラム♀が血尿!と勘違いしたときがあり、病院に行くと「再度尿に血が混じって、血が止まらないときには飲ませて下さい」と飲むタイプの抗生剤を処方されました。
そのときに先生が、「抗生剤を飲ませると食欲がなくなることがあります」と言われました。
”食欲が落ちるなら出来るだけ飲ませたくないな~”というのが私の本音でした。
抗生剤は出来るだけ使用しないこと!というのは本当です。
小動物は体が小さいので、負担が大きいのです。
ケース➁ 「チンチラの歯、治療したことないよね?」知識と経験が足りない獣医
チンチラの食が細くなりはじめて、すぐ病院に行きました。
その時の診察は、内視鏡で口の中を見る。
前歯が曲がり始めてたので、前歯を削る。
しばらく様子を見ましょう・・・それから、1カ月後も「顎が悪いのかなぁ・・」と同じ診断結果。
病院を変えて、レントゲンを取ってもらう。
「正常にかみ合ってます!」とのこと。
この時の私の感想・・・「チンチラって歯が異常に長い!」
その後、また病院を変え、今度は私の方から「奥歯が伸びてると思うので削ってください」処置・・吸引マスイで奥歯削り。
1カ月後「ザ・チンチラの本」の中の不正咬合図を見てレントゲンを撮っても同じという先生にお願いして撮ってもらう結果・・かなり近いレントゲン写真が。(この時、涙が溢れる中、一生懸命に先生に訴えました。最後に行った病院は、始めて行った病院の分院でした。)
ほんとの初期症状の時に行ったのに・・・
当時、正常なチンチラの歯のレントゲン写真などネットで探してもありませんでした。(私の勉強不足ですが)
「ザ・チンチラ」の本を3カ月前に知ってたら、東京でも何処でも、処置をしてくださる病院を探せたのに。
出典:https://www.sbspet.com/chin/chin16-1.html
内視鏡で口の中を見たのにどうしてわからなかったのかなぁ。
前歯を削ったのはさすがでしたが、しばらく様子を見た1カ月後の「顎が悪いのかなぁ…」はちょっとね…
そんなはずないですわ~。 歯よ! 奥のほう! と言いたくなります。
素人が口出しすることではないのでしょうが、チンチラの飼い主として物申す!
その後、病院を変わられているのでホッとしました。
しかし、次の病院で今度は、「正常にかみ合ってます!」と言われていますね。
あのー、正常にかみ合ってるかどうかを診てもらいたいわけじゃないんですけど?
なんか、他人事とはいえ、イライラしてきてしまいます。
飼い主さんが「奥歯を削って下さい」と勇気をもって言ったことでどうにか臼歯カットまでこぎつけて良かったです。
さらにこの飼い主さん、「レントゲンを撮っても同じ」という先生にお願いして再度レントゲンを撮ってもらったんですね。
度胸があります。
もう少し勉強してよ!と言いたかったのでしょうか。
この獣医さん、チンチラの歯を診察した経験があまりなかったんでしょうね。
ケース➂ わからないなら早く言ってよ!フェレットでは名医だけどチンチラの歯は処置できない獣医
歯を削った後も調子が悪く、よだれが増えるばかりでした。
もう一度病院に連れていき、またまた予約を入れて歯を診てもらいましたがこれといって悪い歯はないといわれました。
こんなことが1ヶ月くらいの間に3回あって、口の中に赤くなっているところがあるので、と、人間の口内炎にも使われるケナログという塗り薬を塗ったりもしました。
よだれはまったく減らず、そのうちまったく食べれなくなってきて痩せてきたので、強制給餌をはじめました。
病院に通い始めて1ヵ月半くらいたって、先生に歯は削るところが無いし、もううちではわからないので歯について詳しく診てくれる先生の所に行って欲しいと言われました。
幸いその病院はうちの近くで、わらをもつかむ思いで早速そちらに駆け込みました。
それまでのいきさつを説明し診て貰うと、一見して口の中がずたずたになっているといわれました。
さらに寝かせて奥の方まで詳しく診てみようということになり、ガス麻酔で寝かせて検査をしてもらいました。
結果は、歯は伸びかけのところもあるけどまずは口の中に出来ている傷の治療を、と。
今まで使っていたケナログはステロイドが入っているku棊毆)で傷にはよくないので、ルゴー ル液で消毒してあげるようにと言われました。
炎症を抑える薬と抗生剤と消毒でよだれはかなり減ってきました。
それでも完全にはよくならず、その後は1~2ヶ月毎に伸びてきた歯を削ってもらっています。
前の病院は注射で麻酔をかけるため覚めるのも遅く、第一調子が悪いのに予約の日まで数日は待たないといけませんでした。
それがこちらはガス麻酔で、注射の痛い思いをさせなくて済むしその場で詳しく診てもらえます。
先生自身にチンチラを診た経験が少ないからと、私たちに医学書を提示してこの写真のように歯を削っていますと説明してくれます。
料金も前の所の6~7割と良心的です。
はじめからこちらで診てもらっていれば口の中がずたずたになるまで放置されることも無かったはずだと思います。前の病院はフェレットではかなり有名な所なんですが・・・。
悪くなって1年以上がたち、自分では全く食べないままですが1日3回の強制給餌で体重は維持しているし、7匹いるうちの子たちの中でも一番元気に走り回っています。
初期治療の失敗は今でも悔やまれてなりません。
出典:https://www.sbspet.com/chin/chin16-1.html
「もううちではわからないので歯について詳しく診てくれる先生の所に行って欲しい」
えーっ!
病院に通い始めて1ヵ月半のタイミングでそんなこと言わないでよ~。
一度は歯を削っているんですよね?
このケースは不正咬合を発症して、歯がまともな方向に伸びなくなり、口の中を傷つけていたと思われます。
病院を変わってからの診断で、「口の中がずたずたになっている」と言われたことから考えると、極端に伸びている歯だけを削って、頬の内側や歯茎に当たっている歯は削っていなかったのでしょう。
口の中の傷付いている部分と歯を照らし合わせたら、どの歯が当たっているのかはわかりそうなものなんですけど…
飼い主さんも、チンチラの口の中に薬を塗ってあげたりと頑張られましたね。
チンチラの口の中に薬を塗るのは、すごく大変だと思います。
いい病院に変われたようなので良かったです。
注射麻酔で臼歯カットするところは最近では珍しいかもしれません。
吸引麻酔なら目を開けていますが、注射麻酔は完全に眠っている状態です。
体の負担が抑えられる吸引麻酔のほうががいいですよね。
しかも、次の病院の先生は、自身にチンチラを診た経験が少ないからと、医学書を提示してどのように歯を削っているかまで説明しています。
とても誠意のある獣医さんですね!
最初に通った病院はフェレットではかなり有名な所だったそうですが、チンチラの処置はできなかったということです。
同じ小動物でも種類が違うと臼歯カットのやり方も変わるんですね。
ケース④ 「年齢的に仕方ない」 勝手に完結してしまう獣医
かかりつけの病院でレントゲンを撮りました。レントゲン写真を見ながら、ここまで歯が伸びたらもう処置のしようがないと・・・
歯を削る手術はリスクも大きく命を落とす可能性がある。
でももう年齢的にしかたのないことなのでそんなに深刻にならなくてもいいですよと言われました。
一ヶ月前に別の症状で心配してレントゲンを撮っていたのですが、その時は歯のことは何も言われなかったし、それにまだ6歳半でもう年だから仕方ないなんて、チンチラは20年生きる子もいるのに・・・と納得できませんでした。
それにチンチラにとって歯が伸びすぎるのは命を落とすほど深刻な状態なんじゃないかって・・・炎症止めのような飲み薬をもらい、それで様子を見ましょうと言われましたが、その日の晩からいよいよ餌も食べれないほど食べるのが痛そうでつらそうで、食べるときにヨダレも落ちていました。
下痢もしはじめました。
迷っている暇はない、少しでも体重のある体力のあるうちに歯を削る手術をしなければと決意し、ネットで歯を削る手術を引き受けてくれそうな病院を探しました。
小動物に力を入れている病院を少し遠方でしたが見つけたので、翌々日会社を早退して高速使って連れて行きました。
事情を説明し、じゃあちょっと見てみますと奥に連れて行かれ、しばらくしたら、”もう伸びた歯は削りました。
病院でもらった薬は飲ませないこと”と言われました。
緊急手術や入院を覚悟していたので、あっけにとられてしまいました。
とても短時間でおそらく局部麻酔すらしていなかったと思います。
この時先生は手にペンチ?のようなものを持っていました。
えっ?歯切ったの?とぞっとしましたが、返されたうち子も別段怯えた様子もなく、落ち着いてきょとんとしていました。
まさにブラックジャックです。
かかりつけの病院でレントゲンを撮ったらもうかなり歯が伸びていると言われたと伝えましたが、よほどの経験がないとレントゲン写真では歯の状態は判断できないはずだと言わました。
かなり自信があるようでそこではレントゲンも撮りませんでした。
なので料金もとても安かったと思います。
出典:https://www.sbspet.com/chin/chin16-1.html
確かに、”歯を削る手術はリスクも大きく命を落とす可能性がある”というのは本当です。
麻酔自体にもリスクがあります。
「ここまで歯が伸びたらもう処置のしようがない」というのは自分では処置ができないという意味なので仕方ないのでしょうが、
「もう年齢的にしかたのないことなのでそんなに深刻にならなくてもいいですよ」
これは信じられません。
え? 処置は? 深刻にならなくてもいいって、勝手に完結してしまってます。
6歳半は高齢だということですか? 冗談でしょ~。
自分で処置できないのなら、せめて「他の病院で診てもらって下さい」とでも言えばいいものを、
何だそりゃー。
”チンチラにとって歯が伸びすぎるのは命を落とすほど深刻な状態なんじゃないかって・・・”
はい、その通り。早急に処置することが大切です。
チンチラ本人は、痛いし食べれないし、どんどん弱っていきます。
病院を変わった後、先生が”ペンチのようなものを持っていた”というところから、多分、前歯のカットをしたのだと思います。
前歯なら、吸引麻酔をしなくてもいいときがあります。
前歯のカットは小動物の歯のカットの中では基本中の基本で、奥歯よりも処置がしやすいはずなのに、処置のしようがない?
嘘ぉ〜!
しかし、早く見切りを付けるにはいい診断結果でした。
それで納得して諦める飼い主なんていませんよ。
つくづく、病院も選ばなぎゃダメってことですね。
まとめ
人間を診察する医師も同じですが、信じられない診断は医師の性格も関係しているのかなぁ…と思います。
患者さんを助けたいから医者になった!という意志を持ち続けている人に診てもらいたいものですね。
医療体験談をいくつか読んでみた結果、そんな状況なら飼い主自身も勉強が必要です。
診察や検査をしてもらい、結果を聞いたときに、ある程度チンチラの不正咬合の状態がどうなっているのかわかるように。
”この先生になら任せられる!”と思える獣医さんを見つけることですね。
信頼できる獣医さんに出会えたら、あとは先生に任せることになりますが、小さいことはなるべく言わないようにしています。
いろいろ勉強して、経験も積んでいる獣医さんだからこそチンチラの臼歯カットはできるのですが、知識の他に勘も良くないと上手く処置できません。
ねずみの歯ですよ!? 削るなんてすごい技です。
というわけで、難しい処置だというのはわかるので、診察・処置ができないなら、早い段階で言ってほしいと思います。