チンチラの体質や遺伝・好む餌・老化により不正咬合という病気になるチンチラがいます。
不正咬合とはどういう病気なのか?
詳しく知りたい方はこちら↓
不正咬合は一度発症したら、ほぼ完治はしない病気ですが、早期発見で、その後定期的な処置をしていけば予後は悪くはありません。
ただ、かなり進行するまで放置すると命に係わります。
うちのラム♀は10歳のときに不正咬合を発症しましたが、定期的な治療のおかげで現在も元気に暮らしています。
私の今までの経験から、不正咬合になったチンチラの仕草や行動はどう変わるのか、また、どんな介護が必要になるのかを説明していきたいと思います。
不正咬合になったときの仕草と行動
チンチラは不正咬合になると歯ぎしりを頻繁にする傾向があります。
それはなぜかというと、歯が伸びすぎているからです。
本人も変な感じがするのでしょう。
噛み合わせも、当然悪くなっています。
口元を気にして手で何度も触れたり、わかりやすいのが口元の汚れ(涎)です。
口元やあごの毛が濡れて乾いたように固まっているときは要注意!
次に行動です。
チンチラは不正咬合になると、大好きな餌(ドライフルーツなど)をまき散らすようになります。
それはなぜかというと、食べたいのに食べられないからです。
まき散らしているのは、何度か食べようとしたけれどダメだったということなのです。
食べたくない餌は手に取ったりしませんよね?
それがわからないうちは、「飽きたのかな?」くらいにしか思いません。
しかし、ここで気付けたらチンチラは助かる!
いつもより”餌が減っていない”ということが一番要注意です。
不正咬合が命に関わるとき
不正咬合は発症した後放置すると、どんどん進行していきます。
摩耗が追い付かない歯は伸び続け、歯茎に刺さったり、頬の内側に刺さったりします。
それでも放置していると、今度は潰瘍ができ、そこから細菌が入って化膿します。
そこまでなるうちに、飼い主も気が付くでしょうから、そうまではならないうちに病院に行くことが多いです。
この病気で怖いのは、発症部分の傷よりも”栄養失調”のほうです。
餌を食べられないで過ごすことが一番怖い。
まき散らしているだけで、食べていないのに気が付かないでそのままにしていると、栄養失調になり、気が付いたころには手遅れになっています。
動物は食べられないまま過ごすと内蔵疾患になってしまい、食べても体が受け付けなくなります。
小動物はその名のとおり、小さくて可愛くて弱い。
強がりだけど、体が小さいぶん弱いんですよね。
飼い主だからそれはわかっているつもりでも、忙しかったり、変化があっても気が付かなかったり、勝手に大丈夫だろうと解釈してしまったり…
その時の精神状態も関係して見過ごしてしまうこともあるんですよね。
世の中って厳しいですもんね。
それでも、飼い主も頑張って、見過ごさないように、しっかり見ていてあげないといけませんよね。
可愛い子の命をつなげらるように。
ペットは飼い主のために生きよう生きようと頑張っているんです。
不正咬合になって餌を食べられないときの介護
不正咬合になると歯が伸びて噛み合わせも悪いので、噛み砕いて食べる必要がある餌は食べられません。
ということは…?
そう、餌がそのままではほとんど食べられないんです。
仕草や行動から不正咬合の疑いがあるときは、なるべく早く治療ができる病院に連れて行くことです。
診察の結果、不正咬合と診断されたときには臼歯カットの処置が必要になりますが、緊急の場合以外、臼歯カットは後日改めて…ということもあります。
先生もかなり神経を使う処置でしょうから、先生の都合も考えないといい仕事をしてもらえないですよね?
ねずみの歯なんて絶対難しいですよ。
ただカットするのではなくて、整えながらカットですもんね!
臼歯カットが済んだら、すぐにまた通常の餌が食べられるかというと、そうではなくて、”当分は食べられない”という状況も多いです。
え? それじゃ~ その間はどうすればいいの?
その答えは、チンチラが噛まなくても食べられる餌を用意することです。
汚れた口元もきれいに拭いてあげましょう。
噛まなくてもても食べられる餌というと、一般的には流動食が思い浮かびます。
流動食は病院に行くと水やお湯で溶いて作る小動物用のものを処方してもらえますが、生の湿り気がある餌に慣れていない個体は警戒して食べてくれません。
そんなときは、いつも食べている餌をミルで砕いて与えます。
うちのラム♀は乾燥した餌しか食べない傾向があるので、歯が伸びてが食べられない時期はミルで砕いた餌を食べています。
粉状なので食べにくいとは思いますが、本人も水を飲みながら、時間をかけてゆっくりと上手に食べています。
うちで現在砕いて与えているものは、チンチラバランスフード(乾燥野菜も交じっていますがペレットのみ)・マルカン毎日野菜14種(うちは高齢なのでシニア向け)・マルカンぱりぱりサラダの三種類です。
ドライフルーツなんかも、粉にしてあげると喜びそうですよね。
しかし、ドライフルーツは、触ってみるとわかるように柔らかめなものが多いので、ミルで砕くにはあまり適しておらず、硬かったとしてもミルに入れる量が少ないと上手く砕けません。
チンチラが喜ぶもので、他に砕いてあげられるものはないかなぁ…?
考えた結果、フリーズドライのカボチャに辿り着きました。
手で潰すと簡単に粉々になり、食べさせてみたところ、もともと好きなカボチャだったこともあり、喜んで食べました。
ということで、フリーズドライのカボチャを手で潰してあげることもおすすめです!
とても便利なミルですが、使うときに注意することがいくつかあります。
ミルは30秒稼働させたらそれ以上休ませて…を繰り返します。
回転させて使うので、すぐに熱くなる!
そのまま回転を続けると危険ですが、いちいち休ませると大丈夫です。
それを守って使っていくと、けっこう長持ちします。
初めは手動(すりこぎ)で砕いてみましたが、効率が悪いなんてもんじゃ~なかったです。
手動で行うものではありません。
ミルの力を借りることをおすすめします。
不正咬合の介護は噛まずに食べられる餌を作ることです。
粉餌の作り方!
1. 硬めの乾燥餌をミルで砕く
2. ミルで砕いた乾燥餌を味噌こしでふるう3. 味噌こしを通って下に落ちた粉餌は保存容器に移し、味噌こしに残った方は最後にまとめて再度ミルにかける
これで、噛めなくても食べられる粉餌の完成です。
あとは保存容器にシリカゲルなどの乾燥剤を二枚以上(多めに)入れて涼しいところに保管します。
介護用の”粉餌”の食べ具合が臼歯カットに行く時期の目安にもなる
うちのラム♀は不正咬合を発症してから砕いた”粉餌”が命綱になっています。
臼歯カットの後、また通常の餌(噛む必要がある餌)が食べられるようになりますが、うちでは食べられるようになってからも”粉餌”を与え続けるようにしています。
いつまた通常の餌が食べられなくなるかもしれないし、入れている粉餌をたくさん食べるようになってきたら注意信号!というように、臼歯カットに行く時期の目安にもなるからです。
通常の餌が食べられなくても、常に食べられる粉餌は本当に頼りになります。
不正咬合を発症してしまった後は、粉餌の食べ具合も重要な注意点のひとつです。
逆に、粉餌しか食べられないときにも通常の餌は入れておきます。
歯を摩耗するために、できれば食べて欲しいので半分は願懸けです。
歯が伸びてくると通常の餌を食べるのに一苦労で、本人も痛かったりもするとは思いますが、生きていくために通常の餌を食べていくのは必要なことなので、頑張って欲しいと思います。
不正咬合では臼歯カットをしても歯全体のバランスが整うまでは通常の餌が食べらないことがあります。
すぐに食べられることもありますが、削った歯の場所や本数に応じて回復状態や回復時間はまちまちです。
回復状態が不安定なときは、臼歯カットを何度か繰り返しても通常の餌を食べられるようにはならないときもあります。
それは如実に体重に表れ、粉餌だけしか食べられない時期は430gまでしか体重は戻りませんでした。
しかし、諦めずに定期的な臼歯カットを続けていった結果、やっと通常の餌を食べられるようになり、体重も530gと、元と変わらないぐらいまで戻りました。
不正咬合を発症して、3か月に一度臼歯カットに通うようになって、一年以上過ぎてからのことです。
元の体重に戻る日が来るなんて、信じられませんでした。
小動物の100gの差はすごく大きい!
不正咬合を発症して一旦体重が減り、その後定期的な処置(臼歯カット)のおかげで体重が元に戻ればしめたものです。
それからは細目に体重測定を行えば、臼歯カットに行く時期の目安にできますから!
それに、臼歯カットのときには、ある程度体重があったほうがいいんですよね。
体重が軽いと体力もないので、麻酔のリスクが高くなってしまうんです。
まとめ
不正咬合になるかならないかは個体の体質も関係しますが、体が強くて今までにならなかったから今後も大丈夫とは限りません。
今までは大丈夫な子でも、10歳を超えたら定期的に歯の検査をしていくことをおすすめします。
高齢になると歯の摩耗が追い付かなくなることが多いからです。
チンチラの病気では、不正咬合が高い割合を占めているのではないかと思います。
一度発症すると長いつき合いになる病気ですが、定期的に正しい処置をしていけば発症後も長く一緒に居られます。
ひとつ心配事をあげると、臼歯カットの際の麻酔ですね。
人間でもそうですが、体が弱っているときはリスクが高くなります。
臼歯カットをすれば、本人は痛みから解放され、餌も、もっとたくさん食べられるようになるのですが、三年間定期的に臼歯カットをしてきても、毎回心配でたまらないというのが本音です。
チンチラが不正咬合になってしまったとき、飼い主にできることは限られていますが、個体の嗜好にあった噛まずに食べられる餌を用意したり、口元をきれいにしてあげることはできます。
優しく介護してあけましょうね。